外壁の塗装や、屋根の塗装をする為には殆どの場合で足場を組まなければならない。家の塗替えをする際、どうしてもどんな塗料にするかや色をどうするかなどに目が行きがちだが、その塗装をする為に組む足場も無視できない。
塗装の見積もりを出す際に、勝手についてくる足場の見積もりだが、塗装をする上で足場にはどんな種類のものが有るか、足場の相場はいくらか、足場を組む必要があるのか無いのか等、基本的なことは知っておくべきである。
壁の面積より大きい足場の面積だが、それが無駄に大きく計算されている場合もある。足場の価格相場にだまされないためにここでは基本的な足場の知識をお伝えする。ぜひ頭に入れておいていただきたい。
目次
1.「足場無料」に隠されたヒミツ
見積もりをとったところに、足場を無料にすると言われたことはないだろうか。また、足場が無料になるからといって契約直前までいってしまってはないだろうか。またはもう既に契約してしまってはないだろうか。
経験されたことのない方の為にもご説明させていただくが、足場を無料にすることでお得感を出し、契約を急かす典型的な手法なのである。お得だと思ってつられて契約してしまっては絶対にならない。
つまり、足場が無料になっているわけではない。他の部分を高くして足場代分を取っているだけにすぎないのだ。
売り文句の具体例を2つご紹介する。
- キャンペーンでいまなら足場代が無料
- 近所で塗装をしていて運搬費がかからないから足場代をタダにする
だいたいがこの2パターンが多い。先にお伝えしておくが、足場代が無料になることは絶対にない。足場を組み立てるのは塗装と違い、組み立てて解体するのでかなりの労力が必要とされる。
素人目からすると、近所で工事をしているから運ぶ距離が短くなるので安くなると一見思いがちだが、たとえ近くても遠くても、足場を解体して組み立てるのは全く同じ労力である。その人件費と足場の設置は安全かつ質の高い外壁塗装をする上で必ず必要で、一般的な30坪ほどの家で15~20万円程度する。
お分かりいただけるだろうが、15万〜20万もする工事を無料にすると、当然業者にとってかなりの痛手になる、というより、そんな太っ腹な企業が有るわけがない。仮にそうだとしたら逆に心配だ。
無料であったとしても、足場代を他の部分に上乗せしている場合が殆どで、最終的な総工事費用は変わらないのだ。
2.足場の価格相場
足場の単価は業者によって多少ばらつきはあるが殆ど変わりはない。だいたい1㎡あたり700円〜1000円が相場だ。これは足場の組払い、飛散防止ネットを全て含めた金額で、一般的な2階建ての住宅の場合、ほとんどが15~20万円程度で収まる。
そこで、もし手元に見積書がある方は平米単価の欄に注目していただきたい。1㎡単価が1,000円位なら許容範囲ですが、あまりにそれを上回っている場合は注意が必要だ。
外壁塗装は工事代金全体の約20%が足場代となる。よって外壁塗装をする人は同時に屋根塗装をしてしまう方が多い。また、屋根を塗装する際、もしその屋根の勾配が急で会った場合、安全面と背高品質を確保するため、屋根の上に足場を組む必要があることもあります。その場合、少しプラスで足場代金が加算されるので、頭に入れておいていただきたい。
3.そもそも足場をかける必要があるのか
ここで貴方はきっと考えただろう。脚立で塗装をしたり、上からぶら下がったりして足場を組まずに塗装することはできないのだろうか、と。こちらも結論から先お伝えしておくが、
足場は必ず組んでもらったほうが良い。
ここで断言したいところだが、実は脚立や、上から吊るして塗装をすることは不可能ではない。しかし、足場が安定しない分、完璧な塗装ができない。出来ると言い張る業者もいるが、冷静に考えて欲しい。足場が安定しない分作業がしづらくなり、確実に良い塗装ができなくなるのだ。
つまり、足場を組むことは塗装にとって必要不可欠なのだ。塗装をしたいのに20万も払いたくないと思うかもしれないが、その考えは是非やめていただきたい。100万円以上もする塗装工事を足場台をケチった事によって本来の塗料の耐久性を保てなくなったり、施工が雑になったりするのだ。
4.足場は3種類ある
4−1.単管足場
単管という丸いパイプを2本抱き合わせて組み立てる足場である。
見ての通り危険だ。パイプ2本の上を足が乗るので、意識して作業しないと、パイプとパイプの間に足を滑らせてしまい、事故を起こしかねない。今では殆ど使われることはなく、どうしても幅が取れない部分などで使われることが多い。
4−2.単管ブラケット足場
単管パイプにブラケットという金物をつけ、足場板を敷きその上で作業する足場のことを指す。こちらだ。
単管足場とは違い、ブラケット足場は足を乗せる板があるので、バランスがとれて作業がしやすい。基本的にはこの板のようなものをつけて足場を組むのが一般的である。しかし、ボルトを閉めて組み立てなければならないので、不備があると揺れやすくなることがある。また一つ一つ組み合わせる必要があるので、足場を組むのに時間が掛かるのが欠点。
4−3.クサビ(ビケ)足場
最近もっともよく使われる足場がこのクサビ型足場。下記の写真をよく見て欲しい。
ブラケットを差し込んで組み立てていく足場で、組み立てるのも解体するのも非常に早い。また足を乗せる板が幅広く、ハンマーでガッチリ固定して組むので、揺れも少なく住宅用の足場の中では、一番作業しやすいといえる足場である。
5.外壁面積でわかる足場の価格の求め方
足場の平米数はどこで見積もりをとっても同じだと思われがちだが、業者によって平米数の出し方が異なる。よって是非、足場の平米数もしっかり他社と比較していただきたい。
だいたい似たような平米数で見積もりが返ってくるが、たまに豪邸なみの平米数になっていることもある。そこで自分でも計算できるよう下記に平米数の出し方を紹介するので確認していただきたい。
【足場面積の出し方】
(たて m+よこ m)×2×高さ m=① ㎡
※ 高さの出し方
外壁が雨樋の高さまでの場合………約5.5m
外壁が屋根の天辺まである場合……約7m
【外壁の面積の出し方】① ㎡×0.7= ㎡←外壁の面積
※外壁の面積は足場面積の約70%程度です。(窓など開口部分を除くとこのくらいになります。)
★各面積が出たら、足場の価格相場700〜1000を当てはめて計算してみていただきたい。
上記のように計算すると、一般的な30坪の2階建ての住宅だとだいたい15万〜20万円が足場の価格になるはずだ。外壁塗装と屋根塗装を別々に行う場合、この値段が倍かかってしまうので、両方お考えの方は同時に塗装を行った方が経済的といえる。
また、外壁塗装と屋根塗装の両方を考えていなくてもどうせ足場を組むのならば、全面塗替えを検討してみるのはいかがだろうか。
6.足場業界のシクミ
見積もりを取っている会社はハウスメーカーや、リフォーム会社だったり、塗装専門店、だったりすると思うが、足場を自社で組む場合は殆ど無い。足場専門の会社が全国には多数存在し、基本的には足場屋にお願いする形を取る。自社で足場を組むパターンも含め全部で4パターンある。
- 塗装店が足場を持っていて、自社で組むパターン
- 塗装店が足場をリースして、自社で組むパターン
- 塗装店が足場屋さんに頼んで、組んでもらうパターン
- 塗装店が足場屋さんに頼んで、足場屋さんがリースして組んでもらうパターン
一つ目にご紹介した、「塗装店が足場を持っていて、自社で組むパターン」が唯一自社で全てやるパターンだが、この場合が最も安く足場を組むことができるが、殆どの会社は足場屋にお願いをしている。
まとめ
外壁塗装をする上で足場の事を知っておくことはとても重要であることがわかって頂けただろうか。塗装と同じくらいの費用がかかる足場は外壁や屋根の知識と同様知っておく必要がある。改めて足場について大事なポイントをまとめると、
- 足場が無料になることはない
- 足場の相場は一般的な家庭で15〜20万
- 足場の種類は3種類。今の殆どはくさび形
- 足場を組むパターンは4つ。自社で足場を組めると安く済む。
以上4点を最低でも頭に入れておくことが、出来れば足場だけではなく、適正価格で外壁塗装を終えることが出来るだろう。
もちろんその上で複数社から見積もりを取り寄せることでより満足のいく外壁塗装を行うことが出来るはずだ。営業を受けたから、担当者が熱心だから、という理由で大事な外壁塗装をする業者を決定せず、外壁のことを理解することと、比較検討する事に、しっかり時間を使って頂きたい。
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