2024-03-26 10:50:43 更新

外壁塗装で下塗りは不可欠!下塗りの重要性と役割、作業手順を解説

外壁塗装で下塗りは不可欠!下塗りの重要性と役割、作業手順を解説
編集者プロフィール
輿石 雅志
1972年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。40万人以上の方が利用している国内最大級のマッチングプラットフォームを提供する外壁塗装に特化した無料相談サイト「外壁塗装の窓口」を運営。著書に「マイホームの外壁塗装 完全成功読本」(幻冬舎出版)。
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外壁塗装は下塗りがとても大事な工程です

しかし、その具体的な役割が分かっていなければ職人さんが下塗りをいい加減にやっていたとしても、指摘できなくなってしまいます。そこで今回は下塗り塗装の重要性と使われる塗料についてご紹介します。下塗りをいい加減に済ませてしまうと怖い結果になるので気をつけてください。

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1 . 外壁塗装における「下塗り」とは

2 . 下塗りをしないとどうなる?

3 . 外壁塗装の仕上がりを左右する下塗りを、しっかりと行ってもらうように業者に依頼しましょう

1 . 外壁塗装における「下塗り」とは

外壁塗装には、「3回以上」のしっかりとした塗装回数が求められます。しかし、その塗装回数がいい加減だと、中塗りや上塗りで使う塗料(仕上げ塗料)が持つ性能を十分に発揮できず、雨漏りや外壁の劣化につながります

とくに下塗りは仕上げ塗料をしっかりと定着させるための、大切な工程です。

適当に済ませたのでは仕上げ塗料の剥がれにつながり、塗装工事をやり直さなくてはならなくなってしまうこともあります。そこで、下塗りにはどんな塗料があるのか、その役割について詳しく見ていきましょう。

1-1 下塗りに使用する塗料

仕上げ塗料は大きく分けて3つの塗料が使われることが一般的です。それがプライマーとシーラー、フィラーです。それほど大きな性能差がある訳ではありませんが、それぞれには細かな違いがあります。

その特徴を知ることで、自宅の外壁にはどんな下塗り用塗料を使うべきかが見えてくるでしょう。そこで具体的な塗料の性能についてご紹介します。

1-1-1 プライマー

プライマーは「はじめの」や「最初の」という意味を表す英語の「primary」が由来とされています。具体的には浸透性プライマー防サビ用プライマーがあり、前者はコンクリートなどの素材に浸透させて耐久性を高める目的で使われ、後者は金属などのサビを防ぐ目的で使われます。

また、外壁の表面にあるデコボコを滑らかにして、素地と仕上げ用塗料とをしっかりと密着させる役割もあります。

トラスト_プライマーの塗布

1-1-2 シーラー

シーラーは「ふさぐ」という意味を表す英語の「seal」が由来とされています。プライマーとあまり大きな違いはありませんが、仕上げ用塗料と強く密着させる効果があり、塗装ムラを防ぐのが特徴的です。シーラーを外壁材に染み込ませることで、上塗り塗料の過度な吸い込みを抑えて均一な仕上がりにしてくれます。

1-1-3 フィラー

フィラーは外壁材の傷や表面の凹凸を滑らかにする役割が強い下塗り用塗料です。小さなひび割れなどの劣化した下地に適しており、プライマーやシーラーと同様に仕上げ用塗料との密着性を高める役割を果たしてくれます。

特に微弾性フィラーは塗料の色ムラを抑えつつ、外壁を凹凸を滑らかにすることができる下塗り用塗料と言えます。

外壁材の劣化が激しい場合は、シーラーを染み込ませてからフィラーを塗っていくこともあります。

1-2 下塗りの役割とは

下塗り用塗料には共通する大きな役割があります。その役割を知らないと、適切な下塗りができず、中塗り・上塗り塗料の仕上がりがイマイチになってしまうことがあります。そこで、その役割を下にまとめてみました。

■ 下地と上塗り剤を接着させる ■ サビの防止 ■ 下地を隠す ■ 上塗り用塗料が過度に外壁材に吸収されるのを防ぐ

それぞれには具体的にどのような役割や意味があるのかをご説明します。

1-2-1 下地と上塗り剤を接着する

長年風雨にさらされてきた外壁はひび割れを起こしていたり、必要以上に乾燥していたりして塗料を塗っても上手く密着してくれません。強引に仕上げ用塗料を塗っていってもすぐに剥がれてしまって意味をなさないこともあります。

それを解決するために下塗りを行っていきます。

まずは下塗り用塗料を塗って外壁材に染み込ませて耐久性を補強し、素地表面の凹凸を滑らかにする塗膜を作ります。

この工程を経ることで、仕上げ用塗料の密着性が上がり、防水性や耐候性に優れた外壁塗膜を作ることにつながります。塗料の持つ性能を十分に発揮できるようにする訳です。

no43_01

1-2-2 サビの防止

外壁や屋根には金属が使われていることもあります。とくにストレート屋根の棟やベランダの手すり部分(笠木)には板金が使われていることが一般的です。

これらにはサビを防ぐための処理が施されていますが、経年劣化は避けられません。表面を覆うサビ防止の塗膜が剥げた場合、放っておくとどんどんサビていってしまいます

そのため、ある程度の期間が経過したら、サビ防止の塗装を施す必要があります。それが下塗りです。下塗り用塗料の中にはサビ防止効果のあるものがあるため、それらを塗って補強します。

しかし、塗料自体にはサビを抑える効果はあっても、サビを除去する効果はないので、しっかりとサビを落としてから使う必要があります。

1-2-3 下地を隠す

下地を隠す効果を発揮するのも下塗りです。

長年風雨にさらされ続けてきた素材は表面に細かな傷が付いていることが予想できます。ひび割れを起こしていることもあるでしょう。

表面がデコボコしていると、塗装した際に気泡が入り込む可能性が高くなり、上塗り用塗料がしっかりと密着してくれず、剥がれてしまう恐れが出てきます。

そのため、一度下塗りをして素材をコーティングすることで、密着性を高めるのです。下塗りが中途半端でしっかりと下地を隠すことができないと、上塗りをしても十分な効果が発揮されない恐れが出てきます。

そのため、経年劣化が激しい場合には下塗りを2回行うなどして、しっかりと下地を隠すことが重要です。

太洋技建_50.外壁の下塗り_下地

1-2-4 塗料が外壁に吸収されるのを防ぐ

中塗りや上塗りで使われる仕上げ用塗料が過度に外壁材に吸収されるのを防ぐ役割を発揮するのも下塗り用塗料です。

外壁は乾燥しているため、いきなり仕上げ用塗料を塗っていっても吸収してしまって外壁を守る塗膜を形成してくれないことがあります。

そのために、わざと下塗り用塗料を吸収させて、上塗り用塗料の吸収を抑えます。こうすることで、素材内部に上塗り用塗料が吸収されることを防ぎ、表面をしっかりとコーディングする塗膜を形成する効果を狙います。

とくにシーラー浸透性プライマーは乾燥した素材に吸収させて耐久性を高める用途の下塗り用塗料なので、外壁などに使われることが多いです。

tera_下塗り2

1-3 下塗りの「手抜き」を防ぐためのチェックポイント

下塗りがいかに重要な処理であったかを説明してきました。しかし、その重要性を理解していても手抜き工事をされてしまっては元も子もありません。手抜き工事を防ぐためにどんなことに注意すればいいのでしょうか。

重要な部分を以下にまとめてみました。

  • 高圧洗浄を行っているか
  • 乾燥期間は十分か
  • しっかりと下地処理・コーキングの補修がなされているか

これらのことがしっかりと行われていないと下塗りをしてもあまり意味をなさなくなってしまいます。それでは具体的に説明していきましょう。

1-3-1 高圧洗浄を行っているか

下塗りを行う前に絶対に行わなくてはいけないのが、高圧洗浄です。外壁には長年風雨にさらされ続けてきたために、ホコリや汚れ、カビやコケがたくさん付着しています。

その上から塗装を行っても、汚れの剥がれと同時に塗装も剥がれてしまうことになります。すでに経年劣化している旧塗膜を洗い落とす目的もあるため、しっかりとした洗浄は必要不可欠です。

悪質な業者はこの高圧洗浄を適当に終わらせてすぐに塗装に移ろうとすることがあります。高級な塗料を使用していても、これではその性能を十分に発揮できません。そのためしっかりと洗浄を行っているかをチェックする必要があります。

太洋技建_10.外壁高圧洗浄

1-3-2 乾燥期間は十分か

高圧洗浄を行った後に十分な乾燥期間を設けているかもチェックが必要です。

高圧洗浄には水を使うため、洗浄後は素地が水分を含んでいる状態になります。十分な乾燥期間を取らずに塗装を行ってしまうと、素地が下塗り用塗料を吸い込んでくれず、塗料の性能が発揮されなくなってしまいます

また、塗膜が水分の蒸発を妨げてしまうため、カビやコケなどの発生の原因となります。

下塗りを行った後も十分な乾燥期間を設ける必要があります。下塗りが乾燥する前に中塗りに移ってしまうと、乾燥しきっていない下塗り用塗料が中塗り用塗料と混ざってしまい、下塗り用塗料が塗膜を形成できません。これでは下塗りをしていない状態で中塗りをしているのと同じことです。

そのため、高圧洗浄の後や下塗りをの後にしっかりと乾燥期間を設ける必要があります。これと同じ理由で、湿気の多い日や雨天時に作業が行われないことが一般的であることも覚えておきましょう。

1-3-3 下地処理・コーキングの補修

下塗り前の下地処理とコーディングは重要な工程になります。外壁素材は経年劣化によってひび割れていたり、シーリング材が劣化していたりなど、様々な問題が発生していることがあります。

それらを放ったまま上から塗料を塗っていってしまうと、ヒビ割れている部分や劣化がひどい部分から塗膜の剥がれを引き起こします

サッシ周りに使われているコーキング剤は耐久性が10年程度と言われているので、外壁材よりも先に問題が発生しやすい箇所です。最初は柔らかくゴムのような質感ですが、劣化してくると硬化してしまい、ひび割れをおこします。するとそこから雨水が侵入してきて、雨漏りを引き起こすのです。

また、外壁にひび割れが発生している場合も補修する必要があります。基本的に0.3mm以内の亀裂はフィラー塗料で埋めることが可能ですが、それ以上の亀裂になると下塗り前にシーリング材で亀裂を埋めなければなりません

金属部分にサビが出ている場合も、サビを落とす必要があります。

これらの下地処理がいい加減だと、塗膜の剥がれにつながります。塗装工事を行ったのにまた工事をし直さないといけなくなるケースもあるため、しっかりと行っているかをチェックしてください。

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2 . 下塗りをしないとどうなる?

下塗りには様々な効果があることをご紹介してきました。具体的に下塗り塗装を行わないとどのような症状が出てくるのでしょうか。基本的には以下の3つになります。

  • 塗料が剥がれやすくなる
  • 思い通りに上塗りの色がでない
  • 余計に費用がかかる

具体的にイメージしやすいように詳しくご説明していきます。

2-1 塗料が剥がれやすくなる

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下塗りは中塗り・上塗り用塗料との密着性を高める効果があることはすでにご説明しました。そのため、下塗りをしないと中塗り・上塗り塗料が剥がれやすくなってしまいます。

塗装する前の素地は表面が経年劣化によってデコボコしており、塗料を塗っても気泡が入ってしまったり、思うように密着してくれなかったりと、様々な問題が出てきます。また、乾燥している素地が塗料を過度に吸い込み過ぎてしまうことで素地の表面に塗膜を形成することができなくなってしまい、外壁の劣化を早めてしまう恐れも出てきます。

経年劣化によって素地が傷んでいる場合は下塗りを1回行っても吸い込みが激しく思うように仕上がらないこともあるため、下塗りを2回行う必要も出てきます。

劣化状況を見て、適切な回数の下塗りをする必要があると言えます。

2-2 思い通りに上塗りの色が出ない

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外壁塗装を検討する場合、仕上がりの色はとても重要になってくる事項でしょう。

しかし、下塗りを行わないと、素地が塗料を吸い込んでしまい、色ムラができてしまうことが考えられます。素地の表面には経年劣化によってデコボコがある可能性の高いことはすでにご説明しました。

その素地の厚い部分と薄い部分とが生まれることで塗料を吸収する力にムラが生まれ、厚い塗膜を形成している部分と薄い塗膜を形成している部分に分かれ、色ムラが発生してしまうのです。

このため、下塗りを行わない、または不十分だと、色ムラが起きないように均等に仕上げ塗料を塗ったとしてもキレイに仕上がりません。

2-3 余計に費用がかかる(上塗り剤が吸収されるため)

費用面でも大きなデメリットが生まれることも考えられます。一般的に塗料の相場は下塗り用塗料よりも中塗り・上塗り用塗料の方が高いです。具体的には中塗り・上塗り用塗料は1,000~5,500円くらいですが、下塗り用塗料は600~1,200円と比較的安め。

そのため、下地に吸収されしまう部分だけ余計に塗装費用がかさんでしまうことが考えられます。無駄な費用を抑えるためにもしっかりと下塗りを行う必要があるといえるでしょう。

3 . 外壁塗装の仕上がりを左右する下塗りを、しっかりと行ってもらうように業者に依頼しましょう

外壁塗装において、下塗りはとても大切な役割を持っています。中塗り・上塗りをする前の補助的な塗装ではありません。下塗りを丁寧に行うかどうかは、仕上がりを大きく左右する重要な工程なのです。

そのため、工事を行う業者には下地処理と併せて、しかりと下塗りを行ってもらう必要があります。

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